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堕天使 1st gig.
第31章 自由
演習が始まった。事実上は演習2日目だが、軍人としては今日からが本番という感じだった。

今回は陸、海、空の大型合同演習だ。ヘリや戦闘機が飛び、海じゃビーコンに派手に模擬魚雷やミサイルを撃つ派手なデモンストレーションが続く中、地味な陸軍は一応、大砲を鳴らし派手な音をさせてはいるが、移動射撃や防衛ラインの防空壕を作る穴掘りなどの地味な訓練が続いていた。

俺はひたすら隊員達に

『水分補給だけは怠るな。』

を繰り返す毎日だった。熱帯に慣れない隊員はやたら汗だくになり、脱水の軽い症状を出す奴が他国から出たという報告があったからだった。

今のところ日本からは負傷兵は出ていないが、脱水などの負傷兵を前半で出せば、その隊は演習終了まで馬鹿にされる事になる。

だから俺は隊員達の管理を徹底するのが仕事だ。俺とは違い宗司の方は移動射撃などの基礎訓練に参加する。相変わらず、無難に手抜きで訓練をクリアしていく宗司に俺は

『手抜きは死ぬぞ。』

と宗司の首に手を回して耳元で言ってやる。宗司は女みたいな綺麗な顔で俺に

『貴方が居る限り死にませんよ。』

と言っていた。そうやって俺が宗司とじゃれていると次の順番の高橋が来て

『お前のとこは嫁さん美人なのに副官とイチャついてんのか?』

と俺に言って来る。俺は

『どっちも美人だから羨ましいか?』

とふざけてやる。宗司は

『馬鹿言ってないで次の演習カリキュラムに移動しますよ。』

と俺を連れて移動していた。俺はただ指揮官として現場監督をするだけだったが、あの涼し気な宗司が汗を流して訓練をやる姿は俺はあまり見ていたくなかった。

そうやって5日の前半が無事に終わり、うちの部隊はまずまずの上位に居たから恥をかく心配はない状況で俺は休暇に入っていた。

休暇はその日の夕方から明後日の夕方までの2日間が休暇だった。上層部からは羽目を外して酒の飲み過ぎや喧嘩騒ぎは起こすなと注意事項が出され、俺は外出許可を取り、ホテルのリナの部屋へと向かっていた。
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