この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?

 打ちひしがれるた時に、人はどう立ち上がるのだろうか?


 涼はそう考えて――しかし、それすらも傲慢ではないかと思った。立ち直りまた生きようとしている、自分。もう還らない、妹。

 結局、自分がしたことは、その死期を早めただけであるのかもしれないのに……。

 それでも、潤の後を追うことは違うのだと、それだけは感じていた。生きる方が苦しいと実感できたのなら、その方がいいと。だが、そう考えることで救われてしまう自分が、それはそれで、やはり許せなかった。

 やがて、涼は全てがわからなくなって。只なんとなく、思い至り。父親の顔は見ていたくなかったから、とりあえず家を出ようと決めて。抜け殻のような身体を引きずるようにして、大学に進んだのは、それから二年後のことだった。

 すると、そこで――


「あら、偶然」


 そう言って微笑んだ紅谷零子は、初めて会った時より随分と大人びて見えた。美しい女性に成長していた。

 そう感じながら、実は裏腹。自分が立ち止っていたことに、ようやく気づかされた。


「やあ、久しぶりだね」


 と、涼はそう微笑みを返し。初めて支えを受けた気がして、そこからゆっくりと歩み出そうとした。

 たとえそれが、自分が嫌った甘えであったとしても。所詮は弱すぎる自分を、一度、心の片隅に追いやってゆく。

 だが、何れは向き合わなけれなならないことも、この時点で既にわかっていた。

/456ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ