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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?

 とはいっても、どう考えてもなにもなかったとはいえなくても。少なくとも紺野と男女の関係になってないことだけは、わかっていてほしかった。

 あの時の紺野は意識が混濁していたのであるし。自分はあくまで、オンルッカーとしてあの場に在ったはず、と。

 もちろんサラの気持ちの中で、紺野涼のことを特別視している部分は確かにあって。それは恋愛感情と決してかけ離れてはいないだろうけれど――それでも。黒木俊太には妙な誤解はされたくない。それもまた、今の正直な気持ちだった。

 が、しかし先の状況を改めて踏まえた上で、それを釈明しようとすれば――。


『お騒がせいたしまして申し訳ありません。ですが、結果――一線は超えておりませんので』――などと。


 昨今あまた繰り返された芸能界や政界における不倫報道を彷彿とさせ、その信憑性の薄さにサラは頭を抱えたくなった。

 サラの場合、当然ながら不倫でもないし、それ以前に未だ処女であるのだが……。


「……」


 ふと運転中の黒木の方をチラ見する。

 その横顔はいつもより大人しくも感じさせるが、只淡々と自分の役割を果たしているように見えた。


 気になって、ないの……かな?


 黒木の態度を見た時に、サラは急に一人あたふたとしている自分がバカみたいだと思えた。自分の独り相撲だと、恥ずかしくもなる。

 と、その時だ。


「――わけじゃねーよ」

「えっ……今、なんて?」


 言葉を聞きそびれたサラは、それを聞き返そうとした。


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