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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?

 本名を白隅サラという彼女は、宮子より二つ年下でまだ二十歳だけど、学校では一番の仲良しだ。

 一度彼女に、どうして“サラ”になったの? と、訊ねてみたことがあって。そしたら、サラは――


「お父さんとお母さんが初めてのデートで観た映画に、サラという名前の女優さんが出ていたらしいんだけど。ストーリーも面白かったし、なによりその女優さんがとても魅力的だったから、二人ともよく覚えていたんだって。だけど、それをそのまま娘の名前にしちゃうなんて、なんだかなあ……」


 と、少しだけ照れたように話してから、その後に付け加えて、このように言った。


「でもさぁ、田舎で地道に農家してる両親の話だよぉ。ま、ミーハーというか。それとも、ロマンチストというか――ねぇ?」


 そう話しているサラの顔を見て、宮子にはサラが自分の名前をとても気に入っているのではないかと、そう思っていた。

 そんなところも含めて、宮子の目から見たサラの印象はとても“かわいい”というもの。でもこの場合の“かわいい”は、もちろんアイドルの娘が可愛いというのとは違っているし。また、純真無垢な少女らしさを指すものとも、素朴で健気という情に訴えかけるようなものとも微妙に違っているように思うのだ。

 なにをしていても危なっかしい。基本的に一生懸命ではあるけど、要領が悪くて割とすぐ挫けたりもする。どうでもいいようなことでくよくよ悩んだり、そうかと思えばピンチには強かったりして。よく笑ってよく泣く、優しい娘だ。

 上手には言えないけど、サラはサラとしてサラらしいから“かわいい”のだと、そう思っている。

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