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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?

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 まだ残暑の厳しい日中を過ごし。だが、それが過ぎて夕方六時を迎える頃、やはり日が傾くのは早いのだと感じる。半袖の素肌に、少しだけ風の涼しさを覚えた。

 夏休みが明けて学校に通うようになってから、初めてのバイト――


 ……だよね?


 と、助手席に座る白隅サラは、僅かに小首を傾げていた。サラがそう疑問に思うのも、無理もないことだろう。

 助手席に座るのは最近の恒例としても、そもそも乗り込んだ車はいつものベンツではなく、小さく可愛らしい真っ赤なミニだ。

 そして運転をするのも送迎係の黒木ではなくて、【Onlooker】社長・紅谷零子が自らそのハンドルを握っている。

 頭にポカンとクエスチョンマークを浮かべたままのサラを見かねたのか、零子は鮮やかな紅い唇を開いた。


「どうかしたの、サラちゃん?」


 ベンツに比べれば、圧倒的に狭い座席。とても上品で程よい密度の香水の香りが、ふわりとサラの鼻腔をくすぐる。


「あ、えっと――」


 一旦、サラは言葉を詰まらせてから――


「あの、今日――俊くんは?」


 と言ってしまってから、ヤバいとばかりに顔をしかめた。


「シュンクン……?」

「あ、ちがっ……く、黒木さん……お休みなのかなって」


 サラが恥ずかしそうに言い換えたのを見て、零子はニコリと楽しそうに笑う。


「あらぁ、いいじゃないの――俊くん、で。私の知らない間に、二人はすっかり親密だったりするのかしら?」

「そ、そんなんじゃなくって……あくまで仕事仲間として、少しでも打ち解けたいと……そう思っただけですから」


 語尾になるにつれ小声になるように、サラはゴニョゴニョと言い訳をする。

 その様子を横目で鋭く観察してから、暫く運転に集中――したかと思った頃合いに、零子は思い出したように言った。


「あ、そうそう。サラちゃんにお礼を言ってたわよ――彼」

「えっ、私にお礼……彼って?」

「紺野涼のこと」

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