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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?

「……」


 零子はなにか思うように、じっとその様を見つめていた。

 そうして、全てのグラスにワインが注がれた頃合いに、咲花が改まった口調で言う。


「先ほどお褒めいただきました通り、ワインはそれ相応のものをご用意させていただきました。この後輩からの精一杯のおもてなし――どうか先輩が、無下になさりませぬように祈ります」

「……」


 明らかに雰囲気を変えた咲花と、何故か押し黙ったままの零子。視線を交わし緊張感を醸し出す二人の様子に、割って入ろうとしたのは――


「ちょっと――咲花さん!」


 ソファーから立ち上がった、黒木である。一番無関心を決め込んでいた筈の彼の反応を、サラは「?」少し意外に感じていた。


「なに?」

「なにって……わかってるでしょ」

「だから、なんなの? いいから――俊ちゃんは、黙ってなさい」


 零子と視線を合わせたまま、咲花はぴしゃりと言う。

 そうして立ち尽くしたままの黒木の袖をつんつんと引き、サラが小声で訊いた。


「ね、どういうことなの?」

「どうっつーか……つまり、社長は――」


 黒木がなんらかの説明を、サラにしようとした時に――。


「黒木くん、余計なことは言わないで頂戴。せっかくの場が、しらけてしまうでしょう」

「でもっ」

「いいから――」


 黒木を制した零子は、グラスを片手にスッと起立し一同を見回す。そして――


「それでは、ご指名にあずかりまして――今宵どういった因果か集いました――この五名に」


 そう発した零子は、くっ――と。そのまま一気にグラスを傾けていった。

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