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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?

 可愛らしく猫の決めポーズを取って、ご機嫌顔の零子――だったが、暫くして目つきをトロンと重くさせると、やはり猫のように勝手気ままに机の上に突っ伏して、そのまま眠り始めようとする格好だ。

 その様子に唖然とするサラの後ろで、黒木の嘆く声が聴こえる。


「ちっ、やっぱりかよ……」


 サラはそれを振り向き――


「もしかして、零子さんって――?」

「ああ、そうだ。社長は酒に弱い。しかも極端にな。こーなっちまうと、始末に悪りーんだよ」

「そっか。でも、始末って……大人しく寝ちゃってるだけだよ?」

「別に酔いつぶれるだけなら、いいんだけどな……」

「?」


 黒木は妙に緊張感を漂わせているから、サラはそれを不思議に感じる。

 そんな二人の会話を耳にして、咲花は言った。


「私が入ったばかりの頃、お店の看板は間違いなく零子さんだと直感したわけ。でも実際、当時のナンバーワンは零子さんじゃなかったのね。その理由が、つまりはコレ。ま、自分で飲まなくったって、幾らやりようはあるのに。零子さんは、妙に真面目なことろがあるってゆーかさぁ……」


 すると、次に紺野も穏やかに言う。


「そんなとこも全部含めて、零子の魅力なんだよ」


 ふーん、少し意外……。

 皆の話を聞き、サラが改めて酔った零子を眺めようとした時だった。


「あれ? 零子さんは――?」


 机の上で突っ伏していたはずの、その姿が見えない。それに驚いたと、同時――。


「いっ――!?」


 足元から、ゾクリ、とした感触を受けて。まるで電気が流れたかのように、サラは背筋をピンと伸ばした。そうした後、おそるおそる自分の足元を見つめる――と。


「うふふふ、にゃあ」


 サラの脚に頭からすり寄ってきている。

 豹変した零子の脅威が、テーブルの下からサラを襲う――?


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