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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
「だからぁ、それを理解した上で、初めは納得しようと思ったんです。でもぉ、あの後で紺野さんは用済みの私のことは帰して、そのお嬢ちゃんと二人きりになりたかったみたいでぇ。その後で、おまけに――」
と、咲花は次に、黒木の方を向くと、こう続けた。
「俊ちゃんまで、この私に釣れなくするもんだから。流石に、傷つくじゃないですかぁ」
そんな話を一方的にされ、サラは紺野と黒木と、それぞれ交互に顔を見合わせていた。
その話だけで、全ての状況は見えてはいないけれど。それでもそこはかとなく、咲花が自分をどんな風に気に入らないのか、見えてくることはあった。
それは正に、サラの心が揺れ動く、紺野と黒木という二人の存在のこと。どうやら咲花は、その気持ちがサラに向いていると疑いの目を向けているようだった。
それで、どうこう言われたって……。
サラにしたところで、それは一番知りたくて、それでいて一番わからないこと。それに加え、自分の気持ちがどちらに傾くのか、それさえ予見もできないでいた。
そんなサラの微妙な心情など、微塵も察することなく。咲花はまた、手前勝手な凶行と言動をまき散らそうとする。
「私は、こういう女が一番気に入らないの。なにも知らないような顔して。でも、実はどんな残酷な生き物か、今からそれを暴いてあげる」
咲花は改めてキッとサラを睨み付けると、右手の出刃包丁の切っ先でピタリと狙いを定めた。そして、その上で――
「さぁ、合図はまだ?」