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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?

 そうして訪れた部屋の前、そのドアの向こうから迎えてくれたのは――。


「よく来たね。お嬢さん」


 にっこりとした笑顔のイケメンさん――紺野涼だ。

 口元に覗く白い歯に、サラはうっとりとする。思わずじっくりと、その優しい笑顔を見つめてしまった。


「僕の顔――なにか、変かな?」

「あ、いえ……あの、本日はよろしくお願いします」


 ペコリとお辞儀。


「アハハ、こちらこそ。じゃあ、中に入って」


 早速、部屋の中にエスコートしようとしている。

 すると、その二人の間に、黒木が割って入った。サラを自分の背中に隠し、言う。


「どうもです。紺野さん」

「おや、黒木くんいたのかい?」

「ええ、いましたよ。こっちも仕事なもんで――部屋の鍵、預からせてもらいます」

「信頼が無いなあ。僕ほどの常連になれば、少しくらい融通を利かせてもらってもいいと思うんだ」

「ルールはルールですから。それとも、社長に掛け合ってみますか?」

「冗談――ちゃんと承知してるさ」


 紺野はサラに向けたのとは違う微笑みを浮かべ、黒木にカードキーを手渡した。

 その上で――


「では、お嬢さんは――こちらで預からせてもらおうか」


 黒木は不愉快そうに「ちっ」と舌打ちするも、こうなれば最早その要求に逆らう理由はなかった。


「じゃあな。せいぜい、しっかりやれ」

「えっ――あ!」


 黒木に背中を押されると、すぐ前には紺野の姿がある。


「じゃあ、改めまして――ようこそ、お嬢さん」


 胸に手を当てた、その姿も様になる紺野涼に迎えられて。


「はい!」


 一際胸を高鳴らせた――サラ。

 その瞳が、この後に見つめるものは、果たして?
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