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ヒロイン三国ファンタジー
第6章 6 中原逐鹿
――陶謙から徐州を譲り受けた際、玄徳をやはり推挙していた配下の糜竺から援助として使用人、金銭とそして妹を妃にと贈られる。軍資金はありがたいが玄徳しては女の身で妻を迎えることは出来ぬであろうと断ろうとした。しかし断る理由を明らかにすることが難しく、また彼女に恥をかかし得ないと慮り直接、妹君に会い、彼女の方で断ってもらおうと考えた。

 糜竺の屋敷に参ると美しく装った妹君が側に使用人らしき女人を伴って緊張した面持ちで玄徳を待っていた。人払いをさせたが妹君はその使用人はそのままにし頭を深々と下げ玄徳に懇願する。

「どうか、どうか、この者も一緒にお願いいたしまする」

お気に入りの使用人にしては必死に頼み込む姿に玄徳は事情を尋ね、実は婚姻についてこちらも話さねばならぬことがあると告げた。

「姫君。どうか他言は無用に願いたいのですが、実はこの劉備、天下を安んじたいがために女の身を隠して挙兵しているのであります」
「え? 今何と? 女人ですと?」

「はい。それで輿入れくださってもあなたを妻として扱うことも子を持たせることもかないません」
「なんと! そうでありましたか。では是非ともあたくしを娶ってください」
「え? どういうおつもりですかな?」

困惑する玄徳の前で彼女は使用人の手を取り胸に置いた。

「あたくしとこの者は睦おうてございます。家のため嫁ぐことは致し方ないとしても、せめて離れることがないようにと、劉備様はお優しい方と聞きこの願いが聞き入れられるのではと思っておりました。あなた様が女人ならなおさら、あたくしどもを妻として側にお置きください。これからもお一人であられれば妻を娶る話が幾度と出るでしょう」

「ふーむ。なるほど。私のもとにお二人がおられることは、確かに双方にとって都合が良いかもしれませんね」

この言葉を聞き姫君と使用人は顔を輝かせ、更に続く言葉で二人は深々と頭を下げ生涯、妻として仕えることとなる。

「姫君を正室に、そしてそちらの方を側室に置くことにしましょう」

こうして玄徳は二人の妻を持つこととなる。
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