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ヒロイン三国ファンタジー
第6章 6 中原逐鹿
夜には献帝のもとに曹操が訪れ、彼女の胸の中で甘える献帝が今日玄徳と話した一部始終を告げていた。

「そちは本当は皇帝になりたいのか?」
「なぜ、そのようなことを」

「玄徳もはっきり言わなんだが、皆は孟徳が朕を利用しておると申す」
「ふふふっ。董卓の事を覚えてらっしゃいますかな?」

「ああ、相父のことはよく覚えておる。相父も朕に色々なことを教えてくれた」
「今ならわかる。董卓殿も陛下を傀儡にして利用するのであれば、あなた様ではなく、失礼ですが兄上の少帝弁をそのまま帝位についていただいていたはず。董卓殿は陛下の聡明さを見込んであなた様を建て遊ばしたのですよ」

「ん」
「暗君をたて、傀儡にする宦官どもとは違います。愚かな方々に惑わされてはなりませぬ」

「朕は惑わされてはおらぬぞ! そちがそう思われるのが歯がゆい」
「陛下はまこと純粋であられますな。まあ、今日はちとやりすぎました。あなたが玄徳をやけに意識なさるので、つい」

「遠いとは申せども玄徳はやはり親族である。朕と似たものがあり親しみを感じたのだ」
「まあ、確かに」

二人は物腰の柔らかさや気品、透明感がよく似ている。口に出しては言わぬがおそらく皆、董卓と曹操はよく似ていると思っているのだろう。

「そなたは朕のいわば相母であるな」

この言葉を玄徳に聞かせてやりたいものだと曹操は優しく献帝の頭を撫でた。
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