パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第4章 新生─甦る─

朝方発表された国内総生産(GDP)の速報で、景気回復が裏付けられたことを受けて、買い先行で始まった相場。

この数日間の薄商いを嫌気するかのように、活発に売りが入る。

前日比高値銘柄が増える端末のリアルタイム表示を見ながら、資料片手に電話を掛ける澁谷の姿はいつものクールなエリート証券マン。
　
あの澁谷が200億もの負債を抱えて倒産した『澁谷化学』の後継者だったとは。

西沢は、まだ駆け出しだった頃、『澁化』の社長に随分お世話になっている。

西沢が書いた『澁化』の分析レポートを気にいってくれたらしく、投信などのファンド商品を家族の名義でよく購入して貰ったものだ。

もっと早く気付くべきだったかもしれない。

「澁谷直之」その名前には見覚えがあったはずだ。