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奴隷メイドオークション ~正しいメイドの育て方~ 改訂版
第1章  オークションとご主人様



「ん……」
 目を覚ますと、私はベッドには寝ていた。
 狭くて薄暗い部屋。真っ白だったらしい壁も天井も、薄汚れていている。それに少しカビ臭い。
 頭がぼんやりとしていて、まだ夢の中のようにも感じる。それに、少し頭が痛かった。
 ゆっくりと体を起こして、部屋の中を見回す。
 自分の部屋と違うのは、はっきりと分かる。寝ている硬いベッドの他は、トイレや風呂らしきドア。壁際には小さな古い椅子とテーブル。少しくすんだ鏡が壁に貼り付けてあった。
 外に向く窓や出入り口の小窓にも、何故か鉄格子がはめられている。床や壁は、コンクリートが剥き出し。おしゃれを狙った打ちっぱなしとは全く違う。
 ここは、どこ? 何なの?
 私立大学付属の女子高校の2年生。その学校には、初等部からの入学。遠くなっていたような記憶が、少しずつ蘇ってくる。
 年の離れた兄はいるが、鷹城(たかじょう)不動産の一人娘で……。
 思い出して、私は息を飲んだ。
 父親が手広く経営していた不動産会社は倒産し、残ったのは多額の借金だけ。そのせいで、友達にお屋敷と言われる広い庭付きの家も、近々手放すことが決まっていた。
 刑務所?
 だが未成年の自分が、そんな所に入れられるはずはない。父親は犯罪に手を染めたわけではなく、人の好さもあって多角経営に失敗しただけ。高校生の私は、勿論何も関係していない。
 倒産の犠牲になった、従業員の仕業だろうか。
 そう考えていた時鍵を開ける音がして、いきなりドアが開く。
「11番、美桜(みお)。時間だ。支度しろ」
 入って来た男は黒のスーツ姿で、サングラスをかけている。背が高く立派な体躯で、SPのような雰囲気。
「あの、私……」
「この服に着替えろ。靴は、まだそのままでいい」
 男が、ベッドに大き目の透明な袋を投げた。そこには、11番と書かれている。
「脱いだ服は、その袋に入れておけ」
 私は制服姿。学校帰りに男達にさらわれ、車に載せられたのを思い出す。薬品のようなものをかがされ、すぐに意識が遠くなったのも覚えている。感覚からして、昨日か今日連れて来られたのだろう。今は日にちも時間も分からない。
 男は、入って来たドアの前に立っている。サングラスのせいで視線は分からないが、今は言う通りにするしかない。
「じゃ、じゃあ、見ないで、ください……」


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