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奴隷メイドオークション ~正しいメイドの育て方~ 改訂版
第10章 お披露目と不穏な動き
その後にコーヒーを出し、終わればそれを片付ける。メイドとしてだけなら、本当に簡単すぎる仕事。
愛さんの指示に従い、それぞれの場所の清掃が始まる。だが私だけは、何故か個室で休むように言われた。
他のメイドには悪いが、本を読みながらゆっくりと過ごす。
昼食の配膳の時間に厨房へ行くと、ワゴンに大きなケーキが載っていた。
「何か、お祝いですか?」
梨香さんに訊くと、笑顔で頷く。
「長男の誕生日」
いつもより食事の品数も多く、愛さんは指示役で忙しい。私も指示を受け、ワゴンを運んだ。
「運び終えたら、メイド全員も席に着きなさい」
旦那様に言われ、それぞれが用意された椅子に座る。
長男と次男は両側にメイドがいるが、私は1人切りでご主人様の隣。
ご主人様は、もう1人メイドを買う気はないのだろうか。
料理人が運んだケーキを切り分け、メイド達の皿にもそれが載せられる。
「準備は整ったな」
そう言って、旦那様が立ち上がる。
「長男の31歳の誕生日だ。ささやかながら、祝ってやってくれ」
みんなが一斉に拍手をすると、長男は軽く頭を下げた。
中学生までは、私もホテルでの誕生日パーティー。この家もそうしていたのかもしれない。だが長男も31歳になれば、恥ずかしがるはず。高校生になった私もそうだった。
束の間の歓談と片付けが終わると、また私だけが個室に帰される。
昼食後にご主人様の部屋に呼ばれているから、体を休めろという意味に取り、すぐ個室のベッドに横になった。
1時間程して昼食を摂り、ご主人様の部屋へ向かう為に個室を出ると、愛さんも個室から出て来る。
「美桜、一緒に行こう……」
「え? 私、ご主人様の部屋に呼ばれてるんですけど」
「ん……。知ってる」
それ以降、愛さんは何も話さないまま先を歩いていく。
「愛さん?」
「行けば、分かるから……」
意味が分からない。愛さんは長男専用のメイド。私のご主人様の部屋に行く用は無いはず。何かあれば、先に自分のご主人様の了解を得に行くだろう。
無言のまま部屋に着くと、ご主人様が嬉しそうに出てくる。いつもだったら、すぐ部屋に入れるのに。
「じゃあ、行こうか」
「はい」
返事をした愛さんが、ご主人様の後を歩き出す。慌てて着いて行くと、3階へと進んだ。