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第30章 引越し

玄関を開けると2つの足音が聞こえてきた。

子供が走ってくる音
それは奥から誠が走ってきていた。


「誠くんっ！」

『さぁちゃんだぁーー！！』


誠は桜のことをさぁちゃんと呼ぶ。
二人が抱き合って喜んでいると
もうひとつの足音が近付いてきて
二人にのしかかったのだ。



「ルル…重いよっ！」
『きゃーー！！』


楽しそうなふたりを後ろで見ている。
何も発さずにじっと見ていて
それに気づいた義母が声をかけた。


『ラッキー？入りなさい。

ママがルルに構うからいじけてるのよね？』


桜はラッキーに向かい
おいでと言うとさっきのルルの歓迎より
熱烈なタックルを受けて尻もちをつく。


「ラッキー重いっ！

これからルルちゃんと一緒に遊べるね。」

ラッキーは桜の顔をペロペロ舐めて
喜びを表現している。

しばらく玄関にいると奥から早苗がやってきて
そんな所で何してるの？と笑っていた。


義母に部屋に案内してもらい
持ってきた荷物を部屋に入れて少し片付ける。

片付けていると遅れて聖が
必要荷物を持ってやってきた。

こうして二人はこの家で
大勢で暮らすことになった。

2週間ほどで片付けて
今は聖の設計事務所になった。