この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第11章 満月~あなたのいない世界~

確か記憶にあるはずの風景は一面、純白の花だった。けれど、今は白い花よりは薄紅色の花の方が圧倒的に多い。長い月日の間に、花の色が変化したのだろう。それほど長い年月が流れたという証でもある。
賢は木春菊の野原に佇み、両手を一杯にひろげて深呼吸した。いつも宮殿の中に閉じ籠もっているせいか、広い自然の中に身を置いていると、生き返ったような心もちになる。野原を吹き渡る風がピンク色の花たちを揺らし、その清新な風は心の中に降り積もった淀みを洗い流してくれるようだ。
賢は木春菊の野原に佇み、両手を一杯にひろげて深呼吸した。いつも宮殿の中に閉じ籠もっているせいか、広い自然の中に身を置いていると、生き返ったような心もちになる。野原を吹き渡る風がピンク色の花たちを揺らし、その清新な風は心の中に降り積もった淀みを洗い流してくれるようだ。

