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第18章 春の雪～十一歳の花嫁～

　もしかしたら、初夜を拒んだことで、自分たちの間には永遠に埋められぬ亀裂ができてしまったのだろうか。ふと不安に囚われ、ジュチは暗澹とした想いで王承の後を追うように廊下に出た。






　むろん彼の姿はもうどこにもなく、ジュチは廊下に一人佇んだ。紫紺の夜空には円い月が浮かんでいる。漸く固い蕾をつけ始めた桜の樹の枝越しに見るふっくらとした月は、頼りなげに枝に引っかかっているように見えた。