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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第19章 再会の瞬間(とき)~月日は流れ流れて~
こんな人通りの多い場所に一人にされては堪ったものではない。そう言おうとした時、既に尚宮は足早に歩き去っていた。今更呼び止めるのも悪いような気がして、ジュチは言われたままに一人、その場所に所在なげに佇んでいた。
少し先から女官のお仕着せを纏った集団がやってくる。数人はいるだろう。案の定、彼女らは、はっきり王族と判るジュチに対して丁重に頭を下げたものの、意味ありげな視線を寄越してくる。