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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第20章 恋情~切なくて逢いたくて~
 袖から梔子の刺繍をした手巾を取り出し、頬に押し当てた。



 また新たな涙が込み上げたその時、聞き憶えのある懐かしい声が降ってきた。



「どうしたのですか? 一体、何があったというのです」





 ジュチはハッと顔を上げた。見上げたその向こうには、あれほど逢いたいと思い続けたひとがいる。
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