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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第20章 恋情~切なくて逢いたくて~

「姫さまと最後に逢ってから二年後になりますか、両親が流行病(はやりやまい)で相次いで亡くなりました。二人とも駆け落ち同然の結婚でしたから、親戚付き合いというのもなくて、私は正真正銘のみなしごになったんです。十歳でした。懸命に生きようと色々とやってみましたが、何一つ上手くいきませんでしたね。その頃は父の跡を継いで薬売りになるのが夢でしたけど、叶いませんでした。露店で野菜を売る八百屋の使い走りをしていた時、とある富裕な商家の主人の眼に止まり、その人の下僕として仕えることになったんです」

