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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第20章 恋情~切なくて逢いたくて~

「父母の命日にはいつもこの御寺に来ます。その度にここで祈ります」
彼は観音像を振り仰いだ。
「仏は偉大ですね。悠久の刻が流れ、私が死んだ後も、この観音像は変わらずここにおわすでしょう。自然も仏も、変わることはない。ですが、人間は変わります。生きて生きて、やがてその生命の尽きる瞬間が来る。宦官になった私は最早、子孫を残すこともできません。時々、ふっと考えるのです。一体、自分はどんな形で生きた証を残せるのだろうか」
彼は観音像を振り仰いだ。
「仏は偉大ですね。悠久の刻が流れ、私が死んだ後も、この観音像は変わらずここにおわすでしょう。自然も仏も、変わることはない。ですが、人間は変わります。生きて生きて、やがてその生命の尽きる瞬間が来る。宦官になった私は最早、子孫を残すこともできません。時々、ふっと考えるのです。一体、自分はどんな形で生きた証を残せるのだろうか」

