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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第20章 恋情~切なくて逢いたくて~
 長い夜が、明けたのだ。




 彼は本堂の建物から続く短い階段を降り、境内の片隅に自生する梔子の花をそっと一輪だけ手折った。冬に降る雪のような純白の花をジュチの結い上げた黒檀の髪に飾る。




「お屋敷にお帰りなさい」
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