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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第23章 落城の夜
 そもそもの事の起こりは、あまりにも突然すぎた。二年前のあの日、遙かな砂漠を渡った果ての国の皇帝から親書が送られてくるまで、夏陽国は二百年近く平和で穏やかな刻を紡いでいたし、またこれからも未来永劫、それが続いてゆくものだと誰もが信じて疑わなかった。




 父王はフィメリアにはそのことについて一言も話さなかった。また彼女自身も外交について一王女にすぎない我が身が拘わっているとは想像だにしなかった。父王は最初の使者をにべもなく追い返したが、皇帝は凝りもせず二度、三度と使者を使わした。
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