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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第23章 落城の夜
「まあ、俺も夏陽の言葉はなかなか書くところまではゆかないな」


 と、これは照れくさそうに笑う。笑うと、まるで悪戯好きの少年のように見える。



 そのときだった。遠くからウォーンという唸りのような声が響いてきた。狼であろうか。




 フィメリアのか細い身体がピクリと震える。讃がそんな彼女を気遣わしげに見た。
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