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第25章 熱砂の愛

「その時、兄は十八歳になっていたわ。その姫との婚約が整った時、兄は八歳になっていたの。つまり、元国側は生まれたばかりの赤児と兄を婚約させたわけね。それでも、兄は顔も見たことのない許嫁の死を深く哀しんでいたと思う」






　讃ならば、そうだろうと思えた。王女に言われるでもない、讃は思慮深く優しい男だ。―そんなことは言われなくても判っている。