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第26章 喪失、そして愛、ふたたび

「俺は今日一日、ずっとこの家を見張っていた。だが、他の家は飯時には竈の煙が上がるにも拘わらず、この家だけは煙も上がらぬし、陽が落ちても灯りは極力落としているようだ。解せぬ」





　用心に用心を重ねたのが裏目に出たようである。スエンは気の毒なほど蒼白になっていて、いつもは笑みを絶やさぬ丸い顔には冬だというのに、細かな汗の粒が浮いている。