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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第26章 喪失、そして愛、ふたたび

フィメリアが息を呑んだ。そんな彼女を讃は感情を排除した視線で見つめる。
「あの中年女は夏陽人だろう。恐らくは、宮殿に仕えていた者だな。その縁で、そなたを匿った。あの家にいたそなたを引きずり出して連れてゆこうとすれば、あの女は大騒ぎしたはずだ。最悪、生命と引き替えにしてでも、そなたを守ろうとしたに違いない。そなたは、けしてあの者の死を望みはすまい」
だから、朝まで待ったのだ。讃の意図はフィメリアにも理解できた。
「あの中年女は夏陽人だろう。恐らくは、宮殿に仕えていた者だな。その縁で、そなたを匿った。あの家にいたそなたを引きずり出して連れてゆこうとすれば、あの女は大騒ぎしたはずだ。最悪、生命と引き替えにしてでも、そなたを守ろうとしたに違いない。そなたは、けしてあの者の死を望みはすまい」
だから、朝まで待ったのだ。讃の意図はフィメリアにも理解できた。

