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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第4章 逃亡
「何か言った?」



「いえ、何も。さあ、ぼやぼやしていると、陽が暮れてしまいます。急ぎましょう」




 ジュチが指した辺りには、はるか彼方になだらかな山の稜線が見えている。その山の端を橙色に染めて、今、巨大な太陽が熟れた果実のように沈んでゆこうとしていた。
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