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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第10章 愛縁
しかし、莫大な費用がかかるのと、たまたま元国から貢納品を増やすようにと要請があったのが重なり、橋の方にまで費用を回すことができないでいた。そのため、今回、国王自らが視察に赴き、現地の様子をつぶさに見てくることになったのである。
今、眼を通しているのは現地の下調べに赴いた官僚の報告書であった。即位して以来、初めての本格的な視察となる。できるだけ詳しく民の窮状を見て、費用を捻出できるものならばしたいと王は考えていた。