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サイドストーリー8
第21章 朝凪×蛍③
いつまでも泣いていてはいけないよ。

キミには笑っていて欲しいんだ。

その顔が大好きだったから。

その笑顔を引き出すのが俺じゃなくなったことは悔しいけれど
その役を、その隣を、信之に譲ろうと思う。

あいつは、ずっと昔からキミが好きだったんだ。

あいつに幸せにしてもらえ―――

俺が唯一、キミの隣を許した男だ。

きっと君を笑顔にしてくれるだろう。

でも。
願わくば。
たった1つの俺のわがままをかなえてほしい。

年に1日でいいんだ。
ほんの少しの時間だけ俺にくれないだろうか。

そうだな。
想い出すのは、俺の命日でもなく誕生日でもなく・・・
あの日がいいな。

高校1年のあの日。
その年の夏のにおいがしたあの日。
俺がナツに初めて好きだと告白したあの日。

ほんの一瞬でいい。
あの日に心を飛ばしてほしい。

俺だけのナツだった日を一緒に旅したい。

愛してるよ。
誰よりも。

幸せにしてもらえ―――

愛してるよ。


END****



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