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キミの体温 ボクの吐息
第5章 距
2人で来た午後8時45分の東京駅新幹線のホームは
カップルであふれていた。

「なんだこれ?」

最終の新幹線は仕事でよく使うけど
ほとんどが会社員だ。
こんな風にカップルがひしめき合って
所せましで手を握っている光景を見た事がない。

「だから、これがシンデレラエクスプレスよ」
「へぇ・・」
「このひかりに乗ると『今日中』に新大阪に着くのよ。
それに最終だし。それに掛けて遠距離恋愛しているカップルがこのひかりに乗るの。
このひかりでまた次に会えるまで遠距離が始まるって訳」
「うん」
「だから東京発の日曜日の最終のひかりがシンデレラエクスプレスって呼ばれているのよ」
「なるほどね」

これだけ社会現象になっている事を知らなかった俺を
テレビを見る暇がないものね、と世間知らず扱いしたのもうなづけるな。

「じゃぁ、俺たちもこの雰囲気にのまれてみる?」
俺はそう言いながら白石の腰を抱き寄せた。

「もう!」
可笑しそうに離れようとする白石をより一層抱きしめて
そっと耳元で言葉をつぶやいた。

「大阪から金曜日に帰る」
「25日?」
「ああ」
「クリスマスね・・・」

「横浜プリンスホテル、分かる?」
「うん、磯子のハマプリよね?」
「25日のレストランを予約した」
「――っ!」
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