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愛しい記憶
第3章 亡霊


「……また来るから」



俯いたまま彼女は呟くようにそういった。


微かに頬が染まっている。



「うん」


「おかゆとか、食べてね…?」


「あー…。ありがとう」


「あと、体調大丈夫なら、シャワー浴びなよ…?」



潤んだ瞳を向けられて、返事を忘れて見入った。


今さら、彼女の名前が気になって仕方がない。



「ほらっ…さっき汗かいたしっ…」



そう言って視線をそらす彼女のうなじを見つめる。



女らしさを集めたような、そんな彼女はきっとモテるはずだ。



「あぁ…」



適当に返事をすると、再び彼女は顔を俺に向けた。



来た時のような、不安そうな表情。



何に怯えているのか。



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