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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第7章 蓮と陸の心境


帰宅してみれば、キッチン辺りから声が聞こえる。ふと時計を見れば19時も過ぎた頃、きっと千弥と陸で夕食にしているはず、そう思い扉を開けて見れと……。

「やっぱり僕が作ろうか?」
「これくらい作れますっ!」
「レシピを見ながらね」
「うっ……」

これはまた……食事中では無く調理最中、しかも千弥はレシピを見ながら? 居ない間に大変なことになっているね。

「……ただいま」
「蓮!」
「蓮さん、おかえりなさい」

何気ない帰りの挨拶、それがどれほど心温まるか、二人には分かるだろうか? この一言だけで、泊まりの仕事から癒される感じがする。

「調理中? 俺がやるかい?」
「蓮に頼んじゃえ千弥」
「えーと……ミートグラタンを作ろうとしていて、でも中々上手くいかないんです」
「あぁ、ベシャメルもトマトも煮詰まっていないね、水の分量を間違えた?」
「そうなのかな?」
「缶詰ドンッだし」
「うっ……」
「変わるよ千弥」

帰宅早々着替える間も無く、俺は千弥と交代する。
水っぽいだけで味は悪くない、煮詰めてひと味くらい足せば、美味しいミートグラタンが出来上がるよこれは。

「そこまで時間は掛からないよ。でもグラタンだけじゃバランスが悪い、そうだね……コールスローサラダとコンソメスープくらい付けよう」
「んー流石、私じゃそこまで手が回りません」
「僕は後3時間くらい掛かると思っていたけどね?」
「陸さん!」

1日居なかっただけで、千弥と陸は軽口の言い合いをするほど打ち解けて……やはりなにかあった、そう見るべきなのだろう。

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