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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第12章 新たなる出発点-千弥

「好きなほど……」

蓮さんも、陸さんも、私に沢山好きと言ってくれる。言われるたびに心があたたかくなるの、私も好きと言いたくなるの、それは私たちが同じ想いだから?

「千弥は『八重』という言葉を知っているかい?」
「八重? 八重桜くらいは……」
「うん、それも合っているけどね。『八重』とは八つ重なっていること。転じて数多く重なっている事を意味する言葉。
俺や陸そして千弥、三人の想いが重なることも『八重』と呼べないかな?」
「三人の想いが重なる言葉」

それは今の私たちにピッタリな言葉。私、蓮さん、陸さんの想いが重なって、この生活とバランスが成り立っているんだもの。
とても綺麗な言い回しだと私は思う。『八重』は正に私たちそのものみたい。

笑って、泣いて、愛して……一緒に住んでから色々なことがあったよ、でも私たちは離れることはしなかった。主に私だけど、蓮さんと陸さんは本気で私を心配し、私も二人を頼ることを選んだ。これって蓮さんが言う『想いが重なる』ことだよね。

「気に入ったかい、この言葉は?」
「凄く……凄く……一番好きな言葉になりそう」
「そう良かった。俺はね『八重』が自分たちだと思っている。重なり合って想いが1つになった俺たちだからこそ、この言葉が似合うと思うんだよ」
「私も同じことを思ったよ蓮さん」

私の目の前で優しく笑う蓮さん。あぁ、こんなところも重なっているんだと実感するの。お互いに思いやることが重なるの意味、だって揃って同じ想いだから。

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