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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第2章 始まりは桜の下で……

「わぁー! 今日のこそは満開だよ」

春爛漫の4月、入社2年目になる私、三苑千弥(みその ちや)は、この桜シーズンが大好き。
桜を眺めながら通勤出来るなんて、田舎から都会に出て来たかいがあるというもの。
川に沿って並ぶ満開の桜の木々を見ながら、ご機嫌に出社中。

仕事は夢が叶い、空間コーディネーター……の、企画マーケティング課に配属されて、毎日店舗の改装や新規オープンの店など、様々な空間を作り出すお手伝いが私の仕事なのよね。
まだ2年目だもの、本格的には携わせては貰えないよ。

「おはようございます」

比較的ゆったりとしたオフィス、此処が私の仕事場。
空間を作る仕事だもの、オフィスにもこだわりあり。息苦しくない程度に離された個人スペース、お洒落感を出した課専用の会議室、プチ休憩用スペースと、快適さを追求したデザインが魅力。

「おはよう三苑さん」
「おはようございます小野寺さん」

今挨拶した人は、私と同期になる小野寺陸(おのでら りく)さん。
小野寺さんも入社2年目で、私と同じく企画マーケティング担当。一緒に組むことも多く、私にすれば小野寺さんは話しやすい相手の一人。

「今日は共同開発の担当者が来るんだよね?」
「そう、フードコーディネーターの尾上さん、11時の予定だったよ」
「あぁー、それまでに照明の変更プラン出さなきゃ。また後で三苑さん」
「はーい、頑張ってね」

此処一月くらい、うちの会社と共同開発をしている店があってね、向こうからフードコーディネーターの、尾上陸(おのうえ りく)さんという人が、専用の担当で会社を出入りしている。

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