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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第6章 千弥と陸

「お風呂張ったから、入っておいで千弥?」
「あ、え……と……」

陸さんが気を使って『邪魔しないから』なんて言っているのに、まだ一人になるのが少し怖いなんて言えない。

「どうしたの?」
「うんん……」
「…………一人……嫌?」
「……え?」
「迷ってる、そうな風に感じたから」
「迷う……うん、迷ってると思う」

また一人になったら余計なことを考えるんじゃないか、私一人だと同じことを繰り返すんじゃないか、そんな思いに囚われているのは確か。今は陸さんが居てくれるから、こうして普通にしていられるよ。だけど、『でも』と思ってしまうの。

「じゃあさ、一緒に入る?」
「…………えっ?」
「一緒ってだけで、他はなにもしないから」
「そ、それは……」
「千弥を一人にしたらダメなのは分かる。今は僕を信用して欲しいな?」
「……うん」

こう言われたら、私のほうが弱い。それでなくても、心配してくれる陸さんをはね除けるなんて出来ないでしょう。
背中を押されてメインバスルームへ、中に入った途端に陸さんは後ろを向いてしまう。

「千弥が先に入りなよ。僕は千弥が入ったのを確認してから入るから」
「……うん……」

公共じゃないし、バスタオルを巻いて大丈夫だよね? 服を脱いだと一緒にバスタオルを巻き、私はバスルームに1歩踏み出す。
部屋に備え付けのバスルームとは違い、数人で入れるジェットバスに広いシャワールーム、寛げるように椅子やウォーターベットまで完備って、ここはどこなのよ。

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