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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第2章 始まりは桜の下で……

打ち合わせが終わり、小野寺さんは早く手配したいと、一足先に会議室を出て行ってしまって、残されたのは私と尾上さん。

「……三苑さんも頑張っているよね?」
「ありがとうございます。
まだ数回しか担当したことがないので、少しもたついていますがなんとか……」

備え付けのコーヒーを淹れて、尾上さんに差し出す。
尾上さんはブラック党、これは覚えたよ。

「ありがとう。
三苑さんは色の選びが上手い、派手すぎず地味すぎず、丁度良い色を選んでくれるから、俺としてはやりやすいよ」
「過大評価です、私なんてまだまだ……。もっと色んなことを勉強したい、食器だけじゃなく空間全てをコーディネートしたい……今は憧れですが」
「なれると思うよ、三苑さんは努力家だからね」
「そうかな?」

照れ隠しのように、紙コップを両手で掴んで飲む私。
尾上さんの言葉って、説得力があると私は思う、だからこそ成功しているんだろうね。

「ところで三苑さん」
「……はい?」
「夕方少し空かないかな?
この会社の近くにある公園で待っている」
「…………え?」

それって、小休憩の時に小野寺さんと約束した場所と同じ……。しかも時間もほぼ同じだなんて……。
どんな理由かは知らないけれど、これってブッキングと言わない?

一人の方が良いのかな? それとも二人一緒でも大丈夫なのかな?
だけど桜を見ながら帰りたいから、用件は手短に済ませたい私の思い。そんな軽い理由で、私は尾上さんの話に頷いてしまったの。

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