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第11章 本気です

ママがやっと黙ってくれた。産婦人科医のママはいつも生命の誕生を支えている自分を誇りにしている。

だけどそれは優誠も同じだ。優誠は１万人の生活を背負っている人だ。だから自分の仕事には絶対的な誇りを持っている。

やったー！！優誠の勝ちだ。

と単純な私は軽く喜んでいたら、まさかのパパが

『僕は綾子さんと結婚も失敗したダメな男です。でも僕は美奈の父親で美奈をとても愛してるから美奈を信じています。その美奈が貴方を信じると言っていますが僕は貴方をどこまで信じれば良いですか？』

と言い出した。

うむむむ…、やっぱり私って完全にパパ似なんだ…。

と私は思ってしまう。優誠は少し困ったように

『実を言えば私は既に彼女には結婚前提でお付き合いを申し込んで拒否をされています。彼女は就職をして自分が１人前になるまでは結婚とかは考えられないようです。だから私は彼女が自分で将来を望むまでは待つ覚悟のつもりです。』

と言った。

それは半分以上が嘘だ…、優誠さん。

優誠に永久就職を酔っ払って先に申し込んだのは実は私の方で、その後の私との付き合いは優誠が私を脅して付き合えとか言って始まったのだ。

だから私はそれからの優誠が言って来た永久就職を拒否した訳であり…。

と私は１人で青ざめて考え込んでしまう。

パパはのんびりと

『美奈は僕に似ていて少しズレているから貴方をかなり待たせるかもしれません。それでも貴方は美奈を待つ覚悟ですか？』

と聞いた。優誠は真っ直ぐにパパを見て

『彼女が私を完全に拒否をしない限りはいくらでも待ちます。私はそれだけ本気です。』

と穏やかに言った。パパは少し頭を下げて

『なら美奈をよろしくお願いします。』

とだけ言った。ママはもう何も言わなかった。

食事の後は私は優誠と帰りたいって言ったけれど優誠はお父さんがわざわざ九州から来てるのだからそれはダメだと私に言った。だから私達は再び結城さんの運転で家に帰った。

その日のパパはホテルをキャンセルして私の部屋に泊まってくれた。