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第12章 俺の言う事を聞け

時間はもう夜の８時半だ。私は空達が止めるのも聞かずに煽るように呑み続けた。完全に私が出来上がった時に私は誰かに腕を掴まれた。

『帰るぞ。』

それは優誠だ。

『やだ…。』

『帰るんだ。』

『いやです。』

『俺の言う事を聞け！！』

私は優誠に物凄い声で怒鳴られた。ＢＡＲに居た他のお客さんも皆が私の方を見ていた。

ほとんど引きずられるようにして私は優誠にＢＡＲから出された。

結城さんがすぐに空達の為に通りかかったタクシーを停めた。空は断ったけれど結城さんが無理矢理に空達をタクシーに乗せてタクシーチケットとかいうのをタクシーの運転手さんに渡していた。

それを使えばタクシー代の請求は優誠の会社に行くらしい。私はやっぱり無理矢理な形で結城さんが運転をするレクサスに積み込まれた。

はっきり言ってもう人攫いに会った気分だ。

優誠は一度、優誠の部屋に私を連れて行った。優誠が私にコップに入った水を渡しながら

『少し酔いが冷めたら家まで送ってやるからさっさとこれを飲め。』

と言って来た。私はそんな優誠を無視した。当然だけど優誠が完全に怒っていた。

『俺の言う事は聞けと言ったはずだ。』

かなり怖い声で私に言ったけれど私は

『なんで？彼氏だから？誕生日も知らない人が私の彼氏だから？私は優誠の事は何にも知らない。知らないのに１日中、あの人達に見張られていて友達とも普通に遊べない。こんなのおかしいよ！！』

そんな風に酔った勢いだけで優誠に言ってしまった。

ただ私は空達が結城さん達を怖がって私の友達をやめてしまうかもしれないと思うと怖かった。

それでもやっぱり優誠のそばに居たいと思っている自分もわかるから私は混乱していた。

だから私は逆ギレに近い形で優誠を試していた。私があんな風に酔っ払えば優誠は必ず来てくれて、もう結城さんの見張りを止めてさせてくれると思っていた。