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第13章 信じられない

優誠が私を拭いてくれて優誠が私を着替えさせてくれる。私はただ小さな子供みたいな私だった。

『メイクは自分でしろよ。』

優誠はそう言って私の髪を乾かす。私の腰はずっと優誠が支えてくれた。

私のメイクもなんとか終わったら優誠はスーツを来てネクタイを締めた。そのまままた私をお姫様抱っこすると私のヒールを持って優誠はマンションの駐車場に向かった。

マンションのロビーを抜ける時にドアマンの人が私達を見ていたけど優誠は全く気にしてはいない感じだ。

10分遅れだったけれどフレンチの予約には間に合っていた。優誠が内緒だけど有名でテレビにも出ているシェフが実は佐伯さんの同級生なんだと教えてくれた。

だから急なキャンセルがあれば連絡をして欲しいと以前から割り込みをお願いしていたらしい。お店に着いた頃には私はなんとか自分で歩けるようにはなっていた。

あの有名なシェフがわざわざテーブルにまで来て優誠に挨拶をしていた。

『今回もキャンセルをされるのかと思いましたよ。』

と言われた優誠は既にこのシェフをよく知っているようだった。

『この店に連れて来たい女がすぐに俺を捨てようとするんだよ。』

そう言った優誠がニヤリとする。シェフは少し笑って

『随分と落としがいのある女性ですね。』

と私が居るのにわざと言う。私は俯いてひたすら赤くなるしかなかった。だけどさすが有名シェフのフレンチ、食事はありえないくらいに美味しかった。ワインも本当に最高だった。そして私は

『ここのお店には来た事がないって言っていたけれどシェフを知っているのなら、また嘘？』

と言って優誠を睨んだ。優誠は

『この店のオープン前の改装工事はうちの会社でしたからな。オープン前ならここには何回か来たぞ。』

と言った。

なるほど…、オープンしてからは初めてなんだ。

だからそんな立派なお店を私の為に無理をしてまで予約をしてくれた優誠を私はもう許す事にした。