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この香りで……。
第5章 香り

 翌朝、奈々葉は眠い目を擦りながら出社した。身体が重かった。プールで長い距離を泳いだあとのように……。

「俺さあ……」

 里井の大きな声。

 無意識に彼の頬と口元に目が行く。昨夜の出来事が頭をよぎり、心臓の速く脈打つ。

「居酒屋で飲んでたんだけどさあ……」

 ふう……

 奈々葉は大きな深呼吸をした。

「あ、奈々葉っ! おはよう……あれ……」
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