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第2章 居酒屋

午後十時、奈々葉は○☓情報株式会社の近所の小さな居酒屋にきた。

　カウンター席で、里井がコップ酒を煽っている。

　奈々葉がコップに入った氷入りの水を里井の前に置く。

「身体、壊しますよ。部長……」

「ベーろおお！　ひっく……じょーしに水なんか飲ませんじゃねえよお」

　里井は奈々葉の顔も見ず、手でコップを振り払うとガラスのカップが音を立てて床に飛び散る。

　女性店員が様子を見に出て来る。その手にはモップとホウキを手にしている。

「もう、もういい……もう終わりっ！」

　奈々葉は唇で「ごめんなさい」と言いながら、手のひらを合わせて、彼女に頭を下げた。