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秘密のピアノレッスン
第2章 目覚め
誰かの演奏で、こんなに胸が打ち震えたことがあっただろうか。
リサイタルや音源で、音色を聞いて感動することはあれど、涙が止まらないなんてことは生まれて初めてだった。

「コピー取ってあげたいけど、プリンター調子悪いんだ。君なら大事に使うでしょう。貸してあげる」
「いいんですか……?」
「うん。でも発表会終わったら返してね」
「すぐお返ししますっ」

たくさん書き込まれた先生の楽譜を貸してくれた。

その楽譜は13年前の日付で締められていて、先生がこの曲集を弾いてたのは、中学生の頃だと推測できる。

今の私より少し若い先生が、どんな思いをこめてこの曲を弾いていたのだろう。

そんな時から、こんな曲を弾きこなせるなんて、やっぱり才能がある人は違うな……。
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