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秘密のピアノレッスン
第18章 見えていなかったもの
先生と夢のような時間を過ごした後私は、おばあちゃまの家へと送り届けられた。
数日経ち、ガーゼは外れ、目元の腫れは落ち着いてきてはいたが、まだ痣は消えていない。
先生からの連絡もない。

いよいよ、カナダから父が帰ってきた。
久しぶりに見た、パパの姿。
くまに似ている大好きなパパ。
目尻の皺や、白髪が増えているけれど、変わらないパパ。

「パパ……」

父の元へ近づくと、包み込むように抱き締められた。温もりが涙腺を刺激する。
涙をにじませながら目を閉じ、しばしその感情に身を任せた。やがて静かに「これだけは言わなければ」と父が口を開いた。

「ママは……悪くないんだよ。パパが悪いんだ。全てパパのせいなんだ。更紗につらい思いをさせて……すまなかった」

予想していたものと違うセリフに閉じていた瞳を開け、父を見上げた。
父は憂いに満ちた瞳で私を見下ろす。

「パパは、今の状態に決着をつけに帰ってきたんだ。もし、更紗がパパと来るなら、一緒にカナダに行こう」

カナダ?
突然の提案に驚き、戸惑いを隠せない。
それに、先生と離れたくない――。

「あの、あのね、私……」
「その様子だと、日本にいたいのか?」
私を抱いていた手を離し、小さく溜息をつく父。
何気ないしぐさも、すべて自分のせいで落胆させたように感じて胸が痛む。
……でも、言わなくちゃ。パパには嘘をつきたくない。
足が震えるけれど、言わなくちゃ。


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