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秘密のピアノレッスン
第4章 淡い思い
先生のレッスンを受けるようになって2ヶ月経ち、軽口のようなものを叩いてくれるようにはなった。
その話はそれ以上展開することもなく、終わりの時間までレッスンは続く。

「違うな。もう一回」

先生の教え方はぴしゃりと厳しい。先生のお母さんの佳苗先生は褒めて教えるタイプの先生だっだから、代わってから最初こそ慣れなかったけれど、私を否定したりはしないから、怖さは消えてきた。

「ここ、指確認して」

先生が1オクターブ上で手本を見せてくれる。
長くすらりとした指は、先生のしなやかなスタイルそのもので、淀みなく動く指にはいつも見とれてしまう。
先生が出す音には、体温がある。先生の音を聞いていると、私はただ指を鍵盤に打ちつけているだけで……。

「lungaって書いてるよ。ちゃんと伸ばす」

「優しく、甘くして。強すぎるから」

楽譜を追いながら、指先で音を捕まえる。
一応、音符の羅列としては繋がってきているが、ロマンチックには程遠い仕上がりだ。
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