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秘密のピアノレッスン
第7章 雨
もう、戻れない。
淡い想いを抱いていた頃には。

前まで一度も感じたことのない恐怖が生まれた。
私を貪る先生の姿は息をのむほど美しいのに……先生も雄なのだと痛感させられる。

もう、こんなことを続けてはいけない気がする。
こんな、秘密のレッスンは……。

もう、行ってはいけない。
もう、先生にお願いしてはいけない。
そう思うのに、ソファでの出来事が頭から離れない。


家に帰ったら、母は電話中だった。
私が帰宅したことにも気付いていないほど、会話は盛り上がっているようだった。
相手は誰だかわからない。ただ、母の声がいつもより浮足立っていて、少し耳に障るように感じたが、とにかく早く淫靡な液体を洗い落としたくてバスルームに急いだ。

あれだけ舐め取ってもらったのに、ぬるりとした感触が取れない……。

「…………」

つい30分ほど前に、この割れ目の中に先生の舌が入っていた。
先生の呼吸でそよそよと柔らかな毛が揺れて……熱い吐息が粘膜全体にかかり、あの形のいい唇で溢れる蜜を吸い上げられて、震えるクリトリスにキスをされて……。

ドキドキしながら指をつぷりと入れた。

「あ……っ」

シャワーの音がいけない声を優しく隠してくれる。
母のことなど頭から消えていた。
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