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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第20章 果樹園の魔術師
「悪い、悪い。これは、詫びだ」
サクナはそう言って、スイカの箱の脇に詰まっていた鉋屑の中に手を突っ込んで、埋まっていたものを取り出しました。

「うわ、なになに、それ?」
曲がっていたはずのスグリ姫のお臍が、あっという間に戻りました。
なんとも単純な姫です。

「これは、リンゴだ」

「え!?リンゴが夏になるの?それに、緑なの?」
スグリ姫の住んでいる地域では、スイカは取れませんが、リンゴは取れました。
ですが、リンゴが実るのは、秋でしたし、色も真っ赤でした。
それに比べて、サクナが取り出したリンゴは緑色で、今実るのだといいます。

「秋になる木も有る。植える場所と、品種と、育て方で変わるんだ。例えば、平地と山では、気候も違うだろ」
そう言いながらサクナは上着のポケットからナイフを取り出しました。
折りたたむと刃の部分が鞘に仕舞われる、小さめのナイフです。

そして、リンゴを、手に取って。

「わあああ!素敵ー!!!」

緑のリンゴは、たちまち、白鳥に姿を変えました。
「すごーい…魔法みたい!」
「こういうのも初めてか?」
食べることも出来るぞ、と差し出され、リンゴでできた白鳥は、姫の手の上に、ちょこんと収まりました。
「うん、初めて!初めて見た、すごいすごいすごーい!ねえ、これ、どうやるの!?」
「ナイフは使えるか?」
「もちろん!」
私を誰だと思っているの、と、スグリ姫は胸を張りました。

「じゃあ、白鳥はちょっと教えられねえから、簡単なのな。このリンゴを六つに割って、斜めに切れ目を入れるんだ」
「はいっ!」
ここを重ねて、ここをずらして、と、サクナの指示に従った後。

「うわーい、できたー!!」
少ーし切り目がゆがんでいて、均等に切れていないところは、あるものの。
みずみずしい緑の葉脈のある、リンゴの葉っぱが出来ました。
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