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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第4章 名宛人探し
さて。
后の初めての出産を間近に控えた、ある秋の日。
一通の書状が、城に届きました。
宛先は、人ではなくて、城の名となっています。
城の名が書いてある以上、間違いではないので、使用人が受け取りました。
ところが、この書状を受け取るべき人物の名が、分かりません。差出人も、書いてありません。
差出人の名が書いていない上、届けた者に聞いても、十分な料金をもらって預かったが差出人の素性は知らないとのことでした。
書状自体は、下々のものでは到底誂えることが出来ないような、大変質の良い皮で作られておりました。
使用人は、首を傾げました。

このような立派な書状は、下級の者宛てではないであろう。
だが、外見では、どなた様あてかは分からない。
どうしたら受け取るべき名宛て人に届けられるだろうか。

使用人は困り果てて、上役に相談いたしました。
上役はそのまた上役に相談し、そのまた上役はそのまた上役に相談し。
不審な書状は、次々と、城内の使用人の中でも上級の者へ上級の者へと、渡っていきました。
そのたびに、相談や、検討や、承諾や、確認が行われたので、城の中での書状の名宛人探しには、何日もの時間がかかりました。
そうこうしているうちに、書状は遂に、城の最上階まで届けられました。
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