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甘党な愛
第9章 九

* * *

 ――三分後。恵はキッチンの方から広間へ戻ってきた。笑顔で、手には一つのお皿が握られていた。その皿に乗ったものを見せられて、私は絶句した。

「っ……!?……恵、これは……この皿の上に乗ってる得たいの知れないものは何だ……」

「マカロン作ってみたんだ!こないだ美味しそうに椿ちゃんが食べてるの見て、作ってあげたくなって!」

「マカロン……?」

 私の前に立ったまま明るく恵が説明すると、私は息を飲む。……マカロンって彩り豊で可愛らしい食べ物じゃなかったっけ。こんなテレビでモザイク掛けられる様なものではない筈。ドブ色で、どろどろしたジェル状ではない筈。

「これが俺からのお礼。遠慮なく食べてね」

「お礼なんて本当良いのに……」

「良かったら、俺が食べさせても良い……?」

 お皿を差し出され顔を青ざめながら頬をひきつらせると、恵から質問される。それに返事を返せずにいると、急に恵がソファの背もたれに右手をついて……ソファドンしてきた。真剣な顔で、

「椿ちゃん……食べさせてあげる」

 甘く囁かれても、皿の上のものが消えることはない。

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