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甘党な愛
第24章 二十四

「んっ……」

 日本を発つ日、空港で星窪から聞いたんだ。パパは私の結婚を凄く喜んでいると。私が好きになった相手なら会社を任せられると言っていたと。……愛されていないと思っていたが、パパはいつだって私を信じてくれていた。

「八雲、好き!」

「……ああ、分かってる」

「後、四年、こっちでがんばろうな!台湾のスイーツも美味しいことだし!」

「スイーツも良いけど、夜景も悪くねーな」

 唇を離した途端、私がまた八雲の胸に顔を埋めると、八雲は私の頭を撫でる。

「全部、椿と一緒だからスイーツも美味しいし、夜景も綺麗に見えんだ。こう見えてお前には感謝してる。何か頼み事があるなら言っても良いぞ」

「それなら!」

 思わぬ八雲の言葉に顔を上げ、キラキラと目を輝かせながら続けた。

「子供が欲しい!男、男、女、だ!」

「子供……?」

 それを聞いて一瞬八雲は呆けたが。すぐに慌てながら顔を真っ赤にする。

「お前は、何を急に言い出して……!」

「孫を見せてあげるのがパパとママへの親孝行になると思うんだ!」

「そう思うなら、先ずは先に籍を入れるだろ、普通……!」

 戸惑う八雲。その姿が可愛くて、今度は背伸びをして私から口付けると、リビングが静まり返った。

「……」

「……」

 八雲の言うとおり、先に籍を入れにいこう。一週間後、いや、明日だ!

「……俺はもう少し、二人で過ごしたいけどな……」

 唇を離して八雲が呟くと、そのまま抱っこされてソファの方へ連れていかれる。そしてゆっくり寝かされると、八雲が覆い被さると同時にうっとりした顔でねだってきた。

「……椿、キスして」

「うん!」

「俺が良いって言うまで……して」

 甘党な婚約者だが、近いうち夫に変わる。スイーツも、夜景も良いが、八雲も負けないぐらい甘く、

「椿、もう別れなきゃいけないのかと思ってた……良かった、こうして側にいれて……」

 乙女だ――

 私達の薬指に光る婚約指輪も……夜景に負けないぐらい輝いている。まるで、私達の明るい未来を予想するかのように――……

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